ただの布きれに魅せられて
バンダナに魅せられている。正確には、バンダナって何?と自問してみても自答できない奥深さに可能性とロマンを感じている。
似たようなものはたくさんある。ハンカチ、ネッカチーフ、ポケットチーフ、他にもあるだろうけど、基本的に用途が決まっている。けどバンダナにはこれと決まった使い方がない。
カウボーイからヒップホップ、ギャングといったサブカルチャーとの結びつきが強く、そのカルチャーの数だけ用途があるという多様性がファッションたらしめているアイテムなのだと思う。
しかも、頭や首に巻けば日焼け防止ができて、顔隠しやマスクとしても使えるなど実用性も兼ね備えている。カウボーイは砂除けや止血としても使ったそうだ。
ただの布きれのくせに、いや、ただの布きれだからこそのポテンシャルの高さをまざまざと感じる。形として、シンプルイズベストをこれほどまで体現しているアイテムは他にないんじゃないかと思う。
さて、僕が買ったのは、タカヒロミヤシタザソロイストのバンダナ。
グランジを代表する写真家チャールズ・ピーターソンが撮ったニルヴァーナを全面に落とし込んだ一枚だ。
縁取られた「The Grunge Years」「Touch Me I'm Sick」「Screaming Life」は、グランジを代表するレーベル“Sub Pop”に関係している。40cm四方の1枚の布きれにグランジの世界が詰め込まれていて、そこに惹かれた。
グランジをモチーフにしているならグチャグチャッと粗野に扱いたいもんだけど、あえて丁寧にたたんでジャケットのポケットに突っ込んでみる。
どう扱っても許される懐の広さをそなえたバンダナだからこそ出来るスタイリング。
なんとなく、バンダナを足すだけで「細部まで気を配ってます」感が出て、余裕のある雰囲気が醸される気がする。大人コーデにおけるネッカチーフみたいな立ち位置と同じ感覚。
本格的に暑くなってくると着こなしがシンプルになりがちだから、そういうときこそバンダナを使ってあげたいと思う。ブレスレット風に使ったり、デニムのベルトループに結んだり。もっとたくさんの正解を見いだしていきたい。