気分が上がる“特別”を纏う
昔から香水が好きだ。小学6年生の頃、原宿・竹下通りを入ってすぐの安い香水屋でイキってブルガリの香水を買ってからずっと。それから今に至るまで約14年間、ほぼ毎日のようにつけているし、飽き性という性格も相まって100個近くの香水をこれまでに買っている。
でも「香りにハマってつける」ことはそうない。それはたとえば、会う相手や予定に合わせてネクタイの色柄を選ぶ感覚に近くて、気温とか服装とかスケジュールとか諸々を咀嚼してガムのようにまとめた「その日の気分」のもと香水を選んでる。
そんな性格なので、常に5個以上はタイプの違う香水をストックしている。
香水が楽しいのは、個々のボトルデザインももちろんだけれど、新品と開封から1~2年後の香りが微妙に違う点。
たとえば、上の画像の一番右にあるジャンポール・ゴルチエの香水は、新品のうちはトップノートでスパイシーかつ独特な甘みのある香りがしていたはずなのだけど、2年経つ頃にはバニラとウッディな香りがするようになった。本来はラストノートとして香るはずの匂いが、のっけからトップギアを入れて主張を強めはじめたのだ。
モノによっては全く違った印象の香りに変化することもあり、最初はアルコール臭がキツかったのに1年経つとマイルドになって万人ウケするようになったりと、香りの経年変化が面白い。そして、そういう香水は大抵すぐ廃盤になってしまうからレア感が増す。
しかし、この楽しみ方をせず使い切ってしまいそうな香水がある。
エルメスのオー ドゥ ルバーブ エカルラット。100mlで今年の頭に買ったばかりなのに、もう半分近く使っている。自粛期間中の今はボディクリームを塗るときに混ぜて使うこともしばしば。
この名前に付けられた「ルバーブ」とは野菜の名前らしく、この香水のメイン香料になっている。野菜と言っても柑橘系のようなフルーティで爽やかな香りで、でも鼻にツンとくる感じがなくて使いやすい。
リラックスしたいとき、仕事を頑張ろうと奮起したとき、大事な人に会うとき、どんな「その日の気分」にもマッチするので、これを買ってからはほぼ毎日使っている。数あるストックを差し置いて。
毎日使うものを特別とは言わないのだろうが、僕からしてみれば毎日のルーティンを崩された香水なので“特別”でしかない。そう考えると、気分も上がる。
ちなみにエルメスの香水は種類豊富に展開中。とっておきの香りをお探しなら候補に加えてみてほしい。